ティーチングプロになったきっかけ
ティーチングプロになって、今年(2006年)で、10年になります。
何故、どんなきっかけが有って、この道に進んだのか…。
その理由を、以前に掲載していた記事より引用して、ご紹介させて頂こうと思います。


小山先生との出会い
(’03.8.16)

『初動負荷トレーニング』
最近、ゴルフ雑誌などでも、この言葉をよく見かけるようになりました。
また、この言葉を掲載していただけで、このトレーニングに関する問い合わせが有ったりと、みなさん非常に興味を抱いていらっしゃるようです。

私が初動負荷トレーニングを行ったのは、今から約8年半前のこと。(1995年2月末頃)
阪神・淡路大震災が起きた年でした。
……「ガタガタ、ドシドシ、ガンガンガンッ!!!」
ゴジラかガメラがいきなりやってきて、住んでいるマンションの屋根をつかんで、壊そうとして揺り動かしている!…。
その頃、私は、左手首に固定のためのギプスを付けていて、気分的に沈んでいたので、悪い夢でも見ているのかと思った程でした。
ゴルフ場で研修生をしていた頃で、普段の起床は朝5時半。
忘れもしない1995年の1月17日は、月曜日。
公休日だったため、少し遅くまで眠れると、まどろんでいる時に起きた大震災でした。
また、この日は、付けていたギプスをはずしてもらう日でもありました。
ところが、震災による道路の断絶で、通っていた病院まで行けない。
どうやって行こうかと考えても、その時は、震災で怪我を負われた方々が病院には殺到している。
ひどい震災で、気が動転している。
自分は何をすれば良いのかも分からない。
とにかく、ゴルフをしている場合じゃない。
ギプスをしていることを、気にしている場合じゃない。

…ゴルフ場側からも、今はゴルフをせずに、地域の方々へのボランティアで、水汲み、お風呂当番などを行いなさいとの指示も出されました。
私が当時所属していた『宝塚ゴルフ倶楽部』は、阪神・淡路大震災の被害を最も受けたゴルフ場だったのではないかと思います。
ですが、地下水を使用し、重油でお風呂を沸かしていたため、水道から水が出なくても、ガスが使えなくてもお風呂は使えたのです。
地域の住民の方々に呼びかけ、お風呂を使って頂き、私たちは、その方々の行列整理などをしていました。

やがて、水道からも水が出るようになり、震災のショックも少しは和らぎ、泣いてばかりいないで、次を考えようという頃に、宝塚ゴルフ倶楽部のヘッドプロであった島田幸作先生から、各自、自分の練習できる場所を探して、そこに行きなさいとの指示。
練習グリーンには、1メートルくらいの段差がつき、ショートホールひとつが土砂に流され、その土砂によって、隣りホールのグリーンが、まるで絨毯をたぐり寄せたように波うち、大小合わせて無数の亀裂が入ってしまっているコースでは、営業もできないし、復旧までには、かなりの時間がかかる。
また、何より震災に遭われた方々の心情を察し、いくら私たちにとって、ゴルフは仕事だとは言え、宝塚ではゴルフをしない方が良いとの考えだったようです。

親元に帰り、地元のゴルフ場に行く人、阪神間から離れたゴルフ場に行く人、様々な場所に散って行きました。
さて、私は、どこに行こうか…?
怪我の状態が思わしくなく、クラブを振れば、依然として、左手首に捻挫をした後のような痛みを感じるままの状態でした。

…怪我をしたのは、震災が起きる前年の11月頃。
日暮れに、クロスバンカーから、4番アイアンで練習してしていた時、ボールと一緒に、となりに有った大きな石まで打ってしまったのです。
日が沈んで暗くなってきていたため、ボールの白さは見えていたけど、石の黒さは見えていなかった。…私自身の不注意です。
「イタイッ!!!」、左腕の内側から左手の指先にかけて電流が走りました。
その時は、その場でしゃがみこんでしまうくらいの痛みを感じたのですが、幸い手首は動き、骨折まではしていないなと、自己診断。
でも、1週間経っても、2週間くらい経っても、左手に違和感と痛みを感じる。
日常の生活でさえも、左手でコップが持てない、ドアのノブを回せない、服の脱ぎ着をするのも辛い。
左肩の動きも右肩に比べて何だか悪い。
「この痛みは、トレーニングをして、痛みを感じる周辺の筋肉を鍛えた方が取れるのではないか…」と、またまた、無知なままでの勝手な自己判断。
痛いにも関わらず、寝る前には、握力を鍛えるためのV字型のトレーニング器具で、一日30回を3セットくらいして寝ようと、決めて行ってみたり…。
そうしているうちにも、痛みは減るどころか、益々増してしまう感じ。
朝起きると、左手が固まって動かない。
指先を少しずつ動かして、ほぐれてくれば動き出すという程になってしまいました。

たまらなくなって、その年の暮れに、西宮市内の病院に行くと、『手根管症候群』と診断され、「暫くギプスで固定して様子を見ましょう。ギプスをはずしても、まだ痛みが残るようであれば、手術をした方が良いかもしれません」とのこと。
背中から、ザァ〜と汗が引くような感じで、「大変なことになった」と、顔が青ざめました。

今、考えれば、この当時の私の行動は、体育会系の部活で鍛え上げた”スポ根”剥き出しのみのものでした。
一日クラブを振らなければ、みんなに置いて行かれるというような焦燥感も有り、多少痛くても、我慢をして、練習を続ける。
痛みは、いずれ時期が来れば治まるだろうとも思っていました。

ギプスをはめたまま年を越し…
「さぁ、明日はギプスをはずす日。痛みはどうなっているだろうか?和らいでくれていたら良いんだけど。手首を切るなんて怖い。手首に手術の傷跡が残るなんて、見た目にも悪いし、嫌だ。第一、一度手術をすれば、その部分が弱くなってしまうのではないか。左手首が弱くなると、ゴルフにも影響する…。」などと、色んなことを考えながら、就寝しました。
そして、大震災。

付けていたギプスは、あまり長く付けていても、筋肉が脆弱になるといけないので、病院に行けなくても、どうにかしてはずそう…。
家庭用のハサミでは、切れない。
どうしよう…?
ゴルフ場のコース管理のおじさんに、小さな”電動”ノコギリで、切って頂きました。
余談になりますが、いくら小さくても、電動ノコギリが「ギューン」といって、手首に近付いてくると、無意識のうちに手が縮こまり、「ギャ〜」と、逃げてしまう。
「動くな!!」と言われても、手がどうしても引っ込んでしまう。
身長が170センチも有る大柄の女子プロに、身体を羽交い絞めにされながら、怪我もせず、無事、はずすことが出来ました。ホッ…。

はずしてみると、付ける前より、幾分痛みは和らいでいるように感じるものの、まだ、目一杯クラブを振れる感じではありませんでした。
この状態から、いかに手術をせずに、元に戻すか…?
完治するのだろうか?
知人であるプロ野球のトレーナーの方を訪ねて、怪我をした状況から、手根管症候群と診断されたことなど、これまでの経緯を説明し、手術をした方が良いのかどうかを相談してみることにしました。

そこで教えてくれたのが、ワールドウイングという鳥取市内に有るジムのこと。
「良いトレーニングの方法も教えてくれるし、怪我のリハビリにもなると思うよ。」
「時間を取れるなら1週間くらい行ってみるといいんだけど。」
プロ野球の選手も何人か行っている。
その他、色んな競技の名前を聞いたことが有る選手も行っている。
「この怪我をどうにかできるのであれば…」という思いだった私は、「わざわざ鳥取まで…」と思うより、良いと言われるものなら何でも試してみたい心境でした。
「できるなら、一度行ってみたい…」

その後、前述した宝塚ゴルフ倶楽部を使えなくなっていることによる、島田先生からの「どこか練習させてもらえる場所を探しなさい」との指示。
迷わず私は、「怪我のリハビリのために、鳥取に有るジムに行きます。身体を作り直したいと思います。」と伝えました。

2月。
震災の影響で、まだまだ地上の交通事情が悪かったため、伊丹からプロペラ機で鳥取まで。
飛行機から地上を見下ろすと、屋根に青いビニールシートをかぶせているお家がたくさん見えた。
プロペラ機の”揺れ”が、震災を蘇らせた。

そんなこんなで、漸くたどり着いた鳥取市内のワールドウイング。
そこには、『初動負荷トレーニング』という独自の理論をお持ちの小山裕史先生がいらっしゃり、筋肉隆々の体格で、とってもにこやかに迎えて下さいました。
「怪我をしたんです。治りますか?」と、心細げに尋ねる私に、「大丈夫です!治しましょう!」と、小山先生はとびきりの笑顔で、元気に明るく返して下さいました。
その笑顔に、私は「トレーニング頑張るぞ!!」という意欲をもらいました。

怪我をしていなければ、震災が無ければ、また、紹介してくれる人がいなければ、興味は有っても、行く機会に恵まれたかどうか分からないワールドウイング。
ここでの小山先生との出会いは、怪我の回復のみならず、もっとゴルフスイングを考えたいと思うきっかけにもなりました。

現在に至る、私のティーチングを行うにあたっての基本的な考えは、元ボディビルダーでもある、この小山裕史先生との出会いからはじまりました。


初動負荷トレーニングを行って…
(’03.8.18)

さて、実際に行った『初動負荷トレーニング』は、どんな感じだったのか…。
(8年半前のことですが、記憶を辿りながら…)

先ず、初動負荷トレーニングとは、その言葉の文字通り、初めの動作の時に負荷がかかるというもの。
その対義語のように使われている終動負荷トレーニングは、終わりの動作の時に、筋肉に一番強い負荷がかかる。
小山先生から受けた説明によると、終わりの動作の時に負荷がかかると、筋肉が硬直している状態で止めてしまうので、末端までの血液の流れが悪くなり、そういうトレーニングを続けていると、怪我や故障を招きやすくなる。
初動負荷トレーニングは、最初の動作の時に一番強い負荷をかけ、あとは、慣性に任せると良いので、血液の流れもスムーズなまま行える。
このトレーニングでは、瞬発力と柔軟性の有る筋肉を作ることが出来る。
ワールドウイングに設置されていた様々なマシンも、小山先生が独自で開発されているもので、このマシンを使えば、最初の動作の時にだけ負荷がかかるトレーニングを行うことができるものでした。

初動負荷トレーニングにより、ボディービルでアジアの王者になった小山先生。
ボディービルダーのような筋肉を持つ人は、野球や陸上競技には向かないというイメージを持っていた私。
でも、小山先生は、とても早く走れるし、社会人野球のピッチャーの人とも遜色が無い程、早いボールを投げることもできました。

「早速トレーニングをはじめましょう」と、着いたその日から、このマシンを使ってトレーニング開始。
左手首に痛みが有り、左腕、左肩甲骨のあたりにも違和感を感じていた私は、マシンを動かすようなことができるかどうか、最初は少し不安でした。
それが、先生の助手として働いていらっしゃったトレーナーの方に励まされながら、怖々動かせてみると…大丈夫!
動作をはじめる最初のところだけで、瞬間的に力を出せば、あとは負荷がかかった状態で”こらえる”ことをしなくても良かったので、「これなら、出来る」という印象でした。
最初は、無理をせず自分が心地よく動かせる範囲の負荷で。
また、間違った姿勢で行うと危険なため、この種目のトレーニングを行う時は、この姿勢で…などと、トレーナーの方から、細かな姿勢のチェックも入りました。
ひと通り、ワールドウイングに有ったマシンを体験。

ひとつひとつのマシンを使ったトレーニングで、どこの筋肉にどのような負荷がかかるか、このトレーニングを行う時の重心バランスは、こんな感じが正しい…と、自分の身体で感じながら、覚えながら、色んなトレーニングを徐々にこなせるようになって行きました。
そして、私には、どのマシンでどれくらいの負荷をかけ、どのような組み合わせで、何セット行うと良いか、小山先生に、プログラムを組んで頂きました。

暫くは、そのプログラムに従って、午前中と午後に分け、トレーニングをこなす日々が続きました。
平行して、怪我の治療。
治療方法は、痛めている箇所を見つけ、ワールドウイング風に表現すれば、その箇所の筋肉をつぶし(ほぐすことだと思います)、正常な状態に作り直す。
”つぶす”時は、痛いところを足の親指で踏まれる。
痛いのなんのって、涙目になり、助けを請いたくなるくらい。
そして、また、マシンを使ってのトレーニング…と、その繰り返し。
立てなくなる程、歩けなくなる程、笑えなくなる程の筋肉痛。
身体を作り直していると、”痛い”くらい実感することができました。
この時、私がブツブツと言っていた独り言は、「リハビリ、リハビリ…」。

ワールドウイングに行って、何日目くらいだったか…。
小山先生が、「そろそろ、一度クラブを振ってみましょう」とおっしゃいました。
この時、先生は、「僕はゴルフの人を見るのは初めてなんですよね」って、おっしゃったので、「それなのに、ゴルフのスイングが分かるの?」と、私は半信半疑。
(この後、小山先生の元を訪れたゴルファーに、青木功さんや、伊沢利光さんがいらっしゃるのですが、ゴルファーで訪れたのは、私が初めてだったようです。…ちょっと、自慢?)

痛めていた左手首などの状態を気にしながら、スイング。
「まだ、痛みますか?」と、小山先生。
「はい、まだ少しは…」と、私。
「じゃぁ、このような姿勢を作った状態から、振ってみて下さい」などと、少しずつ、スイングフォームの矯正をはじめた小山先生。
そうすると、振ると痛みを感じていた左手首を含めた、背中の左半分が、痛まない。
「痛くないスイングに変えた方が良いんですか?」と、私。
「そうではありません。今、言っているようなフォームに変えた方が、最も身体からパワーが出るんです。」
「エッ?そうなんですか?」と、私。
「ここは、こうです」「ここは、もう少しこのようにして」などと、おっしゃる通りに微調整を加えながら振ってみると、不思議、不思議、痛くない。
”振れる!”

「はい、では、このマシンでのトレーニングを、これくらいやって来て下さい。そして、その後、もう一度振ってみましょう」と、小山先生。
「エッ?」っと、ちょっと、またまた不思議に思った私。
それまでは、シーズン中にウエイトトレーニングを行うのは、ご法度。
ウエイトトレーニングは、シーズンオフの冬場に行うものと思い込んでいたのに、ワールドウイングでは、トレーニングを行いながら、同時にスイングの練習も行うんだ…。
「ふぅ〜ん…、(私にとっては)新しい試み。面白そう。」と、それまで以上の好奇心が湧き出てきました。

戻ってきて、振ってみると、さっきより、振れる。
身体がスムーズに動く、と感じられました。
本当に不思議…。
ほんの何日間か前までは、グリップも握りづらい、クラブを振れない状態だったのに、今は、しっかり振れる。
身体も痛くない。
本当に”感動”でした。
とっても嬉しかったのを、今でもはっきり覚えています。
また、小山先生のおっしゃるスイングフォームは、当時の私にとっては画期的で、しかも、かなり納得のできる形でもありました。

それからというもの、小山先生には、「どうして、先生はゴルフをしたことが無いのに良いスイングが分かるんですか?パワーの出るスイングが分かるんですか?どうして、ああいう振り方をすれば、私の身体が痛まないって分かるんですか?」などと、質問攻め。
小山先生はニコニコしながら、説明して下さいました。
「人間のパワーの出る源は、上半身は肩甲骨周辺に、下半身は股関節周辺にあります。そこから出力されるパワーを末端の筋肉にスムーズに伝達できるようにすると良いんです。」

怪我のリハビリのつもりでワールドウイングに行ったはずなのに、スイングができるまでに回復し、さらに”より良いスイング”まで教えてもらった。
1週間滞在の予定を2週間に延長したか、2週間の予定を3週間に延長したか…8年半前のことなので、記憶が定かではありませんが、とにかく、トレーニングが好きになり、小山先生の理論をもっと理解し、教えてもらったスイングを身体でしっかりと覚えて帰りたいと思いました。

このワールドウイングで過ごした期間中に思ったことは、私は今まで、スイングする時に、人間の身体の仕組みのことなど考えたことも無かった。
ただ、飛べばいい。こんなボールを打ちたいって考えていただけ。
もしかすると、私は今まで自分の身体に、かなり無理や負担をかけながら振っていたのではないか…手根管症候群と診断された左手首も、ただ手首だけを痛めていただけじゃなくて、今までの無理がたたって、手首に症状として一番出ていただけではないか…。
バンカーで石を打った時に、それまでに蓄積されていた筋肉の疲労などが一気に吹き出しただけではないか…ということでした。
そして、これからは、もっと人間の身体の仕組み、効果的なパワーの出し方を考えた上で、スイングを作っていかなくてはいけない。
また、トレーニングと思って頑張って行っていたことも、結局、無知なまま行っていたから、そのことによって、余計に自分で自分の身体を壊すことになっていたんじゃないか。
もしかすると、痛みをひどくしてしまった原因は、”正しいトレーニング法”を知らなかったからかも…。
ストレッチと称して行っていたことも、今までの形はムチャクチャだったなぁ〜。
などと、それまでの自分自身を振り返り、深く反省しました…。

クラブを振れなくなっていた状態、日常生活の中でさえも感じていた痛み。
ゴルフは、もうできなくても構わないから、何とかしてこの痛みだけは取りたい。
そんな思いで訪ねて行ったワールドウイング。
2〜3週間の滞在で、また、クラブを振れる、また、ゴルフができる状態にまで回復させてもらえた。

「ありがとうございました」
小山先生やスタッフの方々に、お礼を言い、去り難い気持ちでワールドウイングを後にしたのでした。


ティーチングプロとしての第1歩
(’03.10.12)

さて、小山先生に指導を受け、クラブが振れるようになるまで回復し、初動負荷理論に基づいたスイングで、再びゴルフの練習を再開して、どうだったか…?

自分ではスイングがスムーズになったと感じ、実際に、ドライバーでの飛距離もアップしました。(軽く10ヤードは伸びていたでしょう。)
ただ、アイアンで打った場合、ボールが上がらず、ライナー性の当たりが出やすかった。
(170ヤードのショートホール、5番アイアンで、ナイスショット!!…と思っていたら、あぁ〜と、ボールが勢いよく転がって、グリーンをオーバーして行ってしまう…って感じ。)
トレーニングに行く前と、帰ってからでは、明らかに違うスイングをし、でも、”よく転がる”ボールを打っている私を見て、「いくら飛距離が出るからと言っても、ゴルフは飛距離だけじゃ無い。前のままのスイングで良いんじゃないの?」と、言った人もいました。
でも、かなり良くなったとは言え、痛めた左肩や左手首は、前のスイングをしてみると、やはり痛む…。
小山先生から教えて頂いた、人間の身体の構造を考えた上でのスイングには、とても納得しているし、このスイングでないと私は振れない…今のままのスイングをベースにして、改善点を探した方が良いと思いました。

改善点…どこだろう?
人間の身体の仕組みを考えるなら、今のままの形で良いはずだ。
でも、何故ライナーになるのだろう?
この形から、ボールを上げに行く動作を入れると、『初動負荷』のイメージから離れたスイングになる…。
アドレス時のウエイトバランスは、両足の拇指丘に置き、テイクバックは、右足の股関節の中央を通る地面に対して垂直の線を軸として、身体を捻り上げる。
そして、右軸に乗ったパワーを、一気に右軸で、解き放つ。
ダウンスイングの初期の段階で、瞬間的にパワーを発揮させ、あとは、慣性に任せる。
本当に体幹部から出てくるパワーを、腕という末端の筋肉を通して、クラブヘッド、あるいはボールに、そのパワーを伝達させる…という感じのスイングでした。

(【注】小山先生の『初動負荷理論』をもとにしたスイングでは、ライナー性のトップボールが出るという訳ではありません。
私が小山先生のおっしゃるスイングを、完全に完璧に、できていなかったためだと思います。)

また、小山先生のところで行った練習を思い返してみると、このスイングを行う上での条件は、ボールと足の高さが同じであることでした。
う〜ん…コースに出れば、ボールと足の高さが同じ、また、左右の足の高さも同じところ(ライ)なんて、ほとんど無い…。
傾斜から、この理論を利用して打つには、どうすれば良いのだろう?
それから、ボールにパワーを与え過ぎないアプローチの場合は…?

…『初動負荷トレーニング』によって、身体を改善することができ、また、人間の身体の仕組みや筋肉の性質が分かって、身体に無理な負担がかからないスイングを教えて頂いたことによって、また、クラブが振れるようになったのですが、問題点は山積みでした。

”スイングをどうすれば良いか”に悩み、試行錯誤状態だった私は、その年の11月に行われた、プロテストの予選会で、あえなく不合格。
悔しさも一杯でしたが、これを機に、トーナメントプロを目指すことから、方向転換を考えることにしました。

できれば、ゴルフから離れた職業には就きたくない。
でも、研修生だったからと言って、これだけ自分のスイングにも迷っている私が、ティーチングプロになれるとは思わない。
どこかのゴルフショップででも、雇ってもらえないかな?
そうして、信頼のおけるゴルフ関係の仕事に従事なさっていた方に相談してみると、「芦屋に有る『ダンロップゴルフスクール』で、欠員が出てるらしい。一度、面接を受けてみないか?」と言うこと。
「えぇ〜?インストラクターですか?!私には無理なんじゃないですか?ゴルフショップみたいなところが良いんですけど…」
「そんなことは無い。せっかく今まで頑張って来たんやから、全くプロを諦めてしまうんじゃなくて、インストラクターをやりながら、もう一回スイングやゴルフのことも勉強して、練習もして、また、チャレンジしてみたらええやんか!」
怪我をして、そこから回復して、また練習を再開したものの、手根管症候群と診断された左手首は、200球を超える球数を打つと、熱をもったように痛み出す。
こんな状態では、戦えない。
怪我の辛さや痛みは、その本人にしか分からない…。
「トーナメントプロになるつもりは、もう有りません。」
その言葉を口にすると、「弱音を吐いているのか」「挫折するのか」と思われるもの嫌なので、グッと飲み込み、取りあえず、再就職先を探す一環として、面接を受けてみることにしました。

「あなたは、インストラクターになったら、お客様に、何を一番教えたいですか?」
「私は、研修生としてゴルフをしていて、辛いことや悔しいことも一杯経験しました。その一方で、楽しいことや素晴らしいと感じられることもたくさん有りました。アマチュアとして、ゴルフをなさる方々に対しては、その辛いことや苦しいことよりも、ゴルフの楽しさや面白さ、素晴らしさを教えたいと思います。」
(この想いは、今でも変わっていませんよ。上手くお伝えできているかどうか、分かりませんが…)
またまた、余談ですが、当時のダンロップゴルフスクールには、「女性のインストラクターは、育たない」という、”思い込み”が有ったようで、「女はどうか…?」と、契約を躊躇する人もいたそうです。
でも、後から聞いた話…、その時の面接官だった人が、「あの子は良い、オンナ・オンナしてなくて。スクールに通う人の半数近くは、女の人。あの子は、女の人に反感を買われ無さそうな”キャラクター”だ!」と太鼓判を押してくれたらしいです……。(喜んで良いものか、悲しむべきか…)
それと、「楽しさを一番教えたい」と答えたことが、”決め手”となったらしく、契約して頂くことができました。

宝塚ゴルフ倶楽部を退職するにあたり、お世話になった島田幸作先生に、再就職先の話をすると、「怪我もしたしなぁ〜。プロテストは、またチャンスが有れば受けるとしても、お前には、その方が(ティーチングプロの方が)向いているかもしれんな。新しいところで、しっかり頑張りなさい」と、言って頂きました。

そして、平成8年1月1日付けで、ダンロップに所属し、ティーチングプロになるための講習を受け、研修を積むことになりました。

そこで、勉強したのが、デビット・レッドベターのスイング理論。
当時のダンロップゴルフスクールは、デビット・レッドベターのスイング理論をベースにしたレッスン方式だったため、その理論を理解しておくことが大切でした。
講習を受けたり、テキストをもとに、その理論を理解しようとすると…。
アドレス時のウエイトバランスは、両足の拇指丘。
背筋を伸ばし、股関節で上体を前傾させる。
スイング時の回転は、股関節の中央を通る、地面に対する垂直線を軸に行う。
などなど、なんと小山先生に教えて頂いたスイングと、共通するような内容のものが多く含まれていました。
…と言うより、小山先生に教えて頂いたスイングを、分析して、詳しく解説すれば、レッドベターのスイング理論になるのではないかと感じたほどでした。

ただ、イメージとして違ったのは、レッドベターの理論では、左軸にもかなりのポイントを置いているということでした。
左軸を意識して、クラブを振り切ると、その動作は、”終動負荷”的なものになるかも…?
それでも良いのだろうか…?
自分で実際に行ってみると、右から左へのウエイトシフトが使える分、ダウンスイングでのクラブの軌道がなめらかになり、ボールに対するクラブの入射角が良くなって、適切な角度でボールが上がる、という印象でした。
ここで、人間の身体の構造を考えた上でのスイングで、疑問だったり、山積みだった問題点がレッドベターの理論によって、解決されて行くように感じました。

…小山先生から教えて頂いた、人間の身体の仕組みを考えた上での効果的なパワーの出し方に、スキルの部分で、レッドベターの理論をプラスして行けば、良いレッスンができるのではないか…。
『初動負荷トレーニング』を行って、小山先生から色々と教えて頂いたことで、レッドベターの理論もよく理解できたし、これは、これからレッスンを行うにあたって、私の良い”財産”になる。
そう思うことが、私自身のちょっぴりの”自信”となって、ティーチングプロとしての、第一歩を踏み出すことになりました。

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